ふるさと塩田を学んでみませんか2~石城神社本殿 令和の大改修~

ふるさと塩田が誇る「石城神社」は、石城山に鎮座する市内唯一の国指定の重要文化財です。つくられた年代は明らかではありませんが、平安時代の書物に記録されている由緒ある神社です。

本殿は昭和59年の改修から約40年が経過し、屋根や木部などに腐食や欠損が見られたため、このたび、改修修理が実施されています。(2021年11月~2022年10月)

8月20日(土)、21日(日)は、本殿の令和の大改修の現地見学会がありました。本校職員が参加することできましたので、その様子を記録するとともに、ふるさと学習の参考になればと思っています。

では、石城神社の改修の様子を見てみましょう。

本殿前の上の橋の部分には「向拝(ごはい)のかえる股(また)」があります。大変貴重なものだそうです。※写真中央よりやや右下

宮殿(くでん)です。普段は見ることができないそうですが、工事のため、ご神体が塩田小近くの須賀社に移してあるため、特別に見ることができるそうです。ちなみに、格子の扉に半紙のようなものが張られていますが、これは、宮殿の扉のカーボンを塗り、その表面のようすを転写したものだそうです。この模様から、室町時代後期から使われ始めた台鉋(だいがんな)ではなく、それまで使われていた槍鉋(やりがんな)で削ったものであることが分かるそうです。このことから、この宮殿の扉等は、室町時代前期より前に作られたことが分かるとのことでした。

槍鉋で、実際に板を削ってみせてくださいました。

本殿まわりの床の一部です。高欄(こうらん:手すり)があった後など、先のほうが腐食していることが分かります。

できるだけ、使えるものは生かし、使えないところは、一部補修したり、交換したりしています。表に釘が出ないように工夫されているものも、作られた当時からの工夫だそうです。

ちなみに、この図面は改修工事に入る前に、宮大工の棟梁さんが一本一本の木がどのような状態になっているかを示したものです。どこを修理するかどこを交換するかが細かく記されていました。文化財を後世に継承できるよう、ここにも細やかな配慮がありました。

今回は、文化財の保護のため、囲いと足場をつくっての工事です。この足場があるときだけ、屋根の光景をこのような近くから見ることができるます。

屋根は美しい曲線を描くこけら葺きで、ふき替えられている途中でした。

約40年間、石城神社の本殿を風雨から守ってきたこけら葺きです。先のほうは朽ちていますが、中のほうが持ちこたえていたそうです。昔の人の知恵が詰まっているのですね。

こけら葺きとは、スギやサワラ材の原木から鉈で手割りして、厚さ3mm、幅9~15㎝、長さ30㎝に板を小割して、葺き足3㎝程度にして、竹釘でふき上げるものだそうです。

美しい曲線を出しために、途中で足の数が変わっているのがわかりますか?

職人さんたちが、黙々と竹釘で、スギ板を打ち付けていきます。そのスピードと仕事の美しさには目を見張るものがありました。

以上で、現地見学は終了です。

帰りに、過去のこけら葺きの一部と竹釘をいただきました。

なかなか見れるものではありません。学校のどこかに展示させていただこうと思います。

伝統文化と伝統技法を、次の世代へとつなげていこうとする方々の熱い思いの感じられる見学会でした。ふるさとの誇り「石城神社」をこれからも大切にしていきたいですね。

11月19日(土)、20日(日)は完成報告会が予定されているとのことです。

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